外国人労働者の雇用で人手不足を解消!中小企業が知っておきたい現状と対策とは?
中小企業にとって、人手不足は年々深刻さを増しています。採用活動を続けていても思うように人が集まらず、現場の負担が限界に近づいていると感じている企業も多いのではないでしょうか。
こうした中、外国人労働者の雇用は、人手不足対策の一つとして現実的な選択肢になりつつあります。
この記事では、中小企業が直面する人手不足の背景や実態をデータとともに整理し、外国人労働者を雇用するメリットや注意点について解説します。
「外国人採用に興味はあるが、何から考えればよいかわからない」という方にも、判断のヒントとなる内容です。
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Contents
中小企業・小規模事業者の人手不足が深刻化している背景

中小企業の人手不足は「採用が難しい」だけでなく、業界全体の需給ひっ迫や制度変更の影響も重なって起きています。まずはデータで“どの業界で不足感が強いのか”を押さえたうえで、中小企業ならではの採用課題につなげて整理していきましょう。
人手不足が著しい業界とは
厚生労働省の「労働経済動向調査」では、労働者の過不足を示す指標として「労働者過不足判断D.I.(不足−過剰)」が公表されています。数値が大きいほど、人手不足感が強い状態です。
令和7年2月調査(2025年2月1日現在)の正社員等のD.I.は、調査産業計で+48ポイント。特に不足感が強い業界は次のとおりです。
- 学術研究・専門/技術サービス業:+63
- 建設業:+61
- 情報通信業:+58
- 運輸業・郵便業:+58
- 医療・福祉:+58
また、帝国データバンクの調査でも、2025年7月時点で正社員不足を感じる企業は50.8%と高水準で、業種別では建設(68.1%)や情報サービス(67.6%)、運輸・倉庫(63.9%)などで不足感が強いことが示されています。
中小企業で人手不足が起こりやすい“構造”
業界全体の需給ひっ迫に加えて、中小企業では次のような要因が重なりやすいのが実情です。
- 採用競争の不利:知名度・待遇・キャリアイメージの差から応募が集まりにくい
- 定着の難しさ:教育体制や業務の属人化により、入社後の負担が偏りやすい
- 制度・環境変化の影響:例)建設・運輸などでは働き方改革の影響も受けやすい(時間外労働の上限など)
こうした背景から、「日本人採用だけで埋める」発想だと限界が見えやすく、採用チャネルの見直し(外国人採用を含む)や、定着を前提にした受け入れ設計が現実的な打ち手になります。
人手不足解消に向けた対策

中小企業が直面する深刻な人手不足。その解消に向けて、どのような対策が考えられるのでしょうか。中小企業庁では、以下の5つのステップを提案しています。
- 経営課題を見つめ直す
- 経営課題を解決するための方策を検討する
- 求人増や人材の調達方法を明確化する
- 求人・採用/登用・育成(人材に関する取組の実施)
- 人材の活躍や定着に向けたフォローアップ
これらのステップに沿って、自社の状況を分析し、適切な対策を講じていくことが求められます。
特に、ステップ3の「求人増や人材の調達方法を明確化する」の部分で重要となるのが、外国人労働者の雇用です。日本人労働者の確保が難しい中、外国人労働者の活用は人手不足解消の有力な選択肢の一つと言えるでしょう。
次の項目から、外国人労働者の雇用について、より詳しく見ていきましょう。
中小企業の外国人労働者の雇用が増加している

近年、中小企業における外国人労働者の雇用が増加傾向にあります。厚生労働省の調査によると、2023年10月末時点で外国人労働者数は204万8,675人です。前年と比べて22万人余り、率にして12.4%も増加し、2013年から11年連続で過去最多を更新しました。
特に、中小企業での外国人労働者の雇用増加は顕著です。外国人労働者を雇用する事業所の規模別では、「30人未満」の小規模事業所が全体の約40%を占めており、中小企業が外国人材の活用に積極的であることがうかがえます。
人手不足の解消策として、外国人労働者の雇用に注目が集まっている背景には、こうした中小企業の動きがあるのです。
日本における外国人労働者の内訳

それでは、日本で働く外国人労働者の内訳を、在留資格別と産業別の観点から見ていきましょう。
在留資格(就労ビザ)別の内訳
2023年10月末時点の外国人労働者の在留資格別内訳は、「身分に基づく在留資格」が61万5,934人(全体の30.1%)で最多です。これは、永住者や日本人の配偶者などの在留資格で、就労に制限がありません。
次いで「専門的・技術的分野の在留資格」が59万5,904人(29.1%)、「技能実習」が41万2,501人(20.1%)と続きます。前年比では、これらの在留資格がいずれも増加しています。
特に注目すべきは、「専門的・技術的分野の在留資格」のうち、「特定技能」の外国人労働者数が13万8,518人に上り、前年比75.2%増と大幅に増えている点です。「特定技能」は、2019年4月に新設された在留資格で、深刻な人手不足に対応するため、専門性・技能を持つ外国人材の受け入れ拡大を目的としています。
これらのデータから、日本における外国人労働者の受け入れが、単純労働だけでなく、専門的・技術的分野にも広がりを見せていることがわかります。特に、「特定技能」の在留資格が大幅に増加していることは、政府の政策変更が外国人材の流入に大きな影響を与えていることの表れと言えるでしょう。
特に、「特定技能」の在留資格については、受け入れ可能な分野や業種、具体的な受け入れ方法など、より詳しい情報が必要かもしれません。以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
▶︎【特定技能】外国人労働者の受け入れ可能な分野・業種と受け入れ方
産業別の内訳
外国人労働者の産業別の内訳を見ると、最も多いのは「製造業」で、全体の27.0%を占めています。次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」が15.7%、「卸売業、小売業」が12.9%となっています。
製造業が最も多いのは、技能実習生の多くが製造業で働いていることが大きな要因と考えられます。また、サービス業や小売業は、接客業務における人手不足が深刻であることから、外国人材の活用が進んでいるものと推測されます。
これらはいずれも、人手の確保が事業運営に直結しやすい業種です。特に中小企業では、人材不足がそのまま事業継続のリスクになりやすく、外国人材の活用に踏み切る企業が増えています。
中小企業が外国人労働者を雇用するメリット

中小企業が外国人労働者を雇用することには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは主に4つの点を解説します。
1. 人手不足の解消につながる
中小企業にとって最も大きなメリットは、必要なタイミングで必要な人材を確保しやすくなる点です。日本人採用が難しい業務や職種においても、外国人労働者を採用することで、現場の人員不足を補うことができます。
特に、特定技能などの在留資格を活用すれば、一定の技能や経験を持つ人材を受け入れることも可能です。人手不足による業務の停滞を防ぎ、事業を安定的に継続できる点は、中小企業にとって大きな利点といえるでしょう。
2. 現場のコミュニケーションや業務意識が見直される
外国人労働者を受け入れることで、業務の進め方や指示の出し方を見直すきっかけになるケースも少なくありません。
日本人同士では暗黙の了解で進んでいた業務も、言葉にして説明する必要が生じるため、結果として業務内容が整理され、現場のコミュニケーションが改善されることがあります。これは、外国人労働者だけでなく、日本人社員にとっても働きやすい環境づくりにつながります。
3. 固定化していた業務や役割分担を見直せる
外国人労働者は、日本の企業慣行にとらわれない視点を持っていることが多く、業務の進め方や役割分担を見直すヒントを得られる場合があります。
「これまで当たり前だったやり方」を見直すことで、業務効率が改善されたり、属人化していた作業を整理できたりすることもあります。人材不足をきっかけに、業務全体を見直すことができる点も、中小企業にとっては大きなメリットです。
4. 将来的な事業展開や多様な人材活用につなげられる
外国人労働者の雇用は、すぐに海外展開を目指す企業でなくても、将来の選択肢を広げるきっかけになります。
外国人労働者の母国に関する知識や言語力は、インバウンド対応や海外取引の際に役立つことがあります。また、多様な人材が活躍できる体制を整えることで、今後の採用活動においても柔軟な人材戦略を描きやすくなるでしょう。
外国人雇用・外国人採用を進める際の注意点

外国人労働者の雇用は、中小企業にとって大きなメリットがある一方で、いくつかの注意点もあります。スムーズに外国人材を受け入れ、活躍してもらうために、以下の3つの点に留意しましょう。
1. 在留資格・就労可否を確認する
外国人を雇用する際は、まずパスポートと在留資格(就労ビザ)を確認することが重要です。在留資格は、外国人が日本に在留する目的に応じて付与されるもので、就労が認められている在留資格であるかどうかを必ず確認しましょう。また、在留期限も同時に確認し、更新の必要がある場合は手続きを怠らないようにしてください。
2. 外国人雇用特有の手続きの流れを理解する
外国人の雇用手続きは、日本人の場合とは異なる部分があります。在留資格に応じた手続きが必要となるため、入管法や労働法規をしっかりと理解し、適切な手順で進めていくことが求められます。必要に応じて、専門家に相談するのも良いでしょう。
3. 雇用条件・ルールを分かりやすく共有する
言語や文化の違いから、雇用条件についての認識にズレが生じることがあります。トラブルを防ぐためにも、雇用契約書は日本語と母国語の両方で作成し、労働条件や社内ルールについては、外国人労働者が十分に理解できるまで説明することが大切です。また、宗教上の配慮など、外国人労働者特有の事情にも柔軟に対応していく姿勢が求められます。
外国人雇用のメリットと注意点について、より詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
▶︎ 人手不足を解消する外国人採用のメリットと注意点
また、採用担当者の方は、「外国人労働者の募集~採用に必要な準備と手続きを詳しく解説」と「採用担当者必見!外国人を雇用するまでの流れと手続きを解説」の記事で、外国人材の募集から採用までに必要な準備と手続き、そして雇用までの流れを確認しておくことをおすすめします。
まとめ
中小企業にとって人手不足は避けて通れない課題ですが、外国人労働者の雇用は有効な解決策の一つです。単なる人手確保にとどまらず、職場の活性化や将来的な事業展開にもつながる可能性があります。
一方で、制度理解や受け入れ体制の整備が不十分だと、トラブルにつながることもあります。事前準備をしっかり行い、自社に合った形で外国人材を活用することが大切です。
外国人雇用を検討する際は、まず自社の人手不足の原因や業務内容を整理し、どの在留資格・採用手法が適しているかを確認するところから始めてみましょう。
参考:中小企業・小規模事業者 人手不足対応ガイドライン(改訂版)|中小企業庁、「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)|厚生労働省