ベトナム人が日本で働く理由とは?背景・技能実習制度・特徴を企業向けに解説

ノンラーを被って微笑んでいるベトナム人女性

外国人採用を進める中で、「なぜベトナム人がこれほど多いのか」「どのような背景で来日しているのか」と疑問に感じる担当者の方も多いのではないでしょうか。

近年、日本で働く外国人の中でもベトナム人は特に増加しており、技能実習や特定技能を通じて、多くの企業の現場を支える存在になっています。

本記事では、ベトナム人が日本で働く理由や背景、技能実習制度との関係、特徴や採用時のポイントまで解説します。

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ベトナム人が日本で働く理由とは?

ベトナム人の採用を検討するうえで、「なぜ日本を選ぶのか」を理解しておくことはとても重要です。来日の動機を把握することで、ミスマッチの防止や定着率の向上にもつながります。

ここでは、ベトナム人が日本で働く主な理由を紹介します。

賃金水準が高く収入を得やすい

ベトナム人が日本で働く理由として、まず挙げられるのが賃金水準の高さです。

ベトナム国内の平均月収は数万円程度とされており、日本の最低賃金と比べても大きな差があります。技能実習生の場合でも、日本では月12〜15万円程度の収入が見込め、残業を含めるとさらに高くなるケースもあります。

多くのベトナム人は、家族への仕送りや将来の資金づくりを目的に来日しており、日本で数年間働くことでまとまった貯蓄を得られる点は大きな魅力となっています。

日本語や技術を学べる環境がある

収入面だけでなく、日本語や専門技術を学べる点も、日本で働く理由の一つです。

ベトナムでは、日本語教育を受けたうえで来日するケースも多く、日本での就労を通じてさらに実践的な語学力を身につけたいと考える人が多く見られます。

また、技能実習や特定技能の制度では、製造業や介護、建設などの分野で実務経験を積むことができ、将来的に母国でのキャリアに活かせる点も評価されています。

親日感情が強く日本文化への関心が高い

ベトナムは比較的親日的な国として知られており、日本に対して良いイメージを持つ人が多い傾向があります。

アニメやマンガ、音楽などの日本文化に触れて育った若者も多く、「日本で働いてみたい」という関心につながっています。また、日本語学校への進学をきっかけに、そのまま日本での就労を目指すケースも少なくありません。

こうした文化的な親近感は、日本で働くことへの心理的なハードルを下げる要因になっています。

治安や生活環境が安定している

日本の治安や生活環境の良さも、ベトナム人にとって大きな魅力です。

比較的安全に生活できる点や、公共交通機関の利便性、医療やインフラの整備状況などは、安心して働きたいと考える人にとって重要な要素です。

また、職場環境においても、一定のルールや制度が整っていることが評価されており、安定した環境で働ける国として選ばれています。

ベトナム人労働者が増加している背景

ベトナム人が日本で働く理由だけでなく、「なぜここまで増えているのか」という背景も見ていきましょう。制度や各国の経済状況が複雑に関係しており、採用戦略にも影響します。

中国人技能実習生の減少と人材シフト

かつて日本の技能実習生は、中国人が大きな割合を占めていました。しかし近年は、中国国内の経済成長により、現地での雇用機会や賃金水準が向上しています。

その結果、日本に出稼ぎに来る必要性が低下し、中国人技能実習生は減少傾向にあります。

一方でベトナムは、若年人口が多く、海外就労への意欲も高い国です。この流れの中で、中国人に代わる主要な人材供給国として、ベトナム人が急増しています。

技能実習制度・特定技能制度の影響

日本側の制度も、ベトナム人労働者の増加に大きく関係しています。

技能実習制度はもともと「技術移転」を目的とした制度ですが、実際には人手不足を補う役割も担ってきました。さらに2019年には、より就労色の強い在留資格である「特定技能」が創設され、外国人材の受け入れが拡大しています。

ベトナムはこれらの制度と相性がよく、送り出し体制も整っているため、多くの人材が日本に来やすい環境が整っています。

ベトナム国内の雇用・経済事情

ベトナムは経済成長を続けている一方で、地方を中心に安定した雇用機会が十分とはいえない地域もあります。

そのため、若年層を中心に「海外で働いて収入を得たい」「家族を支えたい」と考える人が多く、日本を含む海外就労が選択肢の一つになっています。

また、日本で得た収入を仕送りすることは、家族の生活を支える重要な手段でもあり、こうした経済的背景も来日の大きな動機となっています。

送り出し機関・ブローカー問題

ベトナム人技能実習生の増加の裏側には、送り出し機関や仲介業者の存在もあります。

中には高額な手数料を徴収するケースもあり、実習生が借金を抱えた状態で来日することもあります。その結果、「早く稼ぎたい」という意識が強くなり、転職や失踪といった問題につながるケースも指摘されています。

近年は制度改善も進んでいますが、企業としても受け入れルートや契約内容を確認することが重要です。

技能実習制度とベトナム人材の受け入れ状況

ベトナム人材の多くは、技能実習制度を通じて来日しています。採用を検討する際は、個人の特徴だけでなく、制度の仕組みや受け入れ状況を理解しておくことも重要です。

ここでは、技能実習制度の基本と、ベトナム人材の受け入れ動向を整理します。

技能実習制度の基本

技能実習制度は、日本で培われた技術や知識を外国人に移転し、母国の発展に役立ててもらうことを目的とした制度です。

在留資格としては「技能実習」が該当し、原則として最長5年間、日本で働きながら技能を習得することができます。

ただし実務上は、人手不足の分野を補う役割も大きく、製造業・建設業・農業・介護など、多くの業界で活用されています。

ベトナム人実習生の割合と動向

現在、日本で働く外国人の中でも、ベトナム人は特に大きな割合を占めています。

技能実習生に限ると、2025年時点でベトナム人は国籍別で最多の218,600人(全体の36.1%)となっており、主要な人材供給国となっています。

コロナ禍で一時的に入国制限の影響を受けた時期もありましたが、その後は再び増加傾向にあり、現在も多くの分野で受け入れが続いています。

今後も人手不足の解消を背景に、ベトナム人材の需要は一定程度続くと見られています。

職種別の受け入れ傾向

ベトナム人材は、人手不足が深刻な分野を中心に受け入れが進んでいます。

2025年時点では、特に製造業と建設業での受け入れが多く、製造業が約37.5%、建設業が約12.3%を占めています。

そのほかにも、農業や介護、食品製造業などでの受け入れも見られますが、全体としては製造業を中心に活用が進んでいるのが特徴です。

こうした傾向から、現場作業を伴う業務や、継続的な人材確保が必要な分野において、ベトナム人材のニーズが高まっているといえます。

参考:外国人雇用状況」の届出状況表一覧(令和7年10月末時点)

ベトナム人材の特徴と強み

ベトナム人を採用するうえでは、あらかじめ働き方や性格の傾向を把握しておくことで、配置や育成のミスマッチを防ぎやすくなります。

真面目で向上心が高い

ベトナム人は、勤勉で努力家な人が多いといわれています。

来日する多くの人は、家族への仕送りや将来のための資金づくりといった明確な目的を持っており、仕事に対して前向きに取り組む傾向があります。

また、新しい知識やスキルを積極的に吸収しようとする姿勢も強く、教育や指導に対して素直に応じやすい点は、企業にとって大きなメリットです。

手先が器用で技術習得が早い

ベトナムでは、裁縫や木工など手作業に関わる文化が根付いており、細かい作業に慣れている人が多いとされています。

そのため、製造業の組立作業や検査工程など、精度が求められる業務にも適応しやすい傾向があります。

また、一度覚えた作業を繰り返し正確に行う力もあり、現場で即戦力になりやすい点も特徴です。

協調性が高くチームで働くことに慣れている

ベトナムは、個人よりも集団を重視する文化があり、周囲との調和を大切にする傾向があります。

そのため、チームでの作業や共同生活にもなじみやすく、日本の職場環境にも比較的適応しやすいといわれています。

一方で、自分の意見を積極的に主張することが少ない場合もあるため、企業側から意見を引き出すコミュニケーションが重要になります。

日本語学習への意欲が高い

多くのベトナム人は、来日前から日本語を学んでおり、来日後も継続して学習する意欲が高い傾向があります。

仕事に必要な日本語だけでなく、日常会話や資格取得を目指して勉強する人も多く、時間とともにコミュニケーション力が向上しやすい点も特徴です。

企業側が日本語教育の機会を用意することで、より早く職場に定着しやすくなります。

ベトナム人を採用する際の注意点

ベトナム人材は多くの強みを持つ一方で、採用や定着にあたって注意すべきポイントもあります。実際に、条件面のミスマッチが原因で早期離職につながるケースもあるため、実務上押さえておきたい主な注意点を紹介します。

短期的な収入志向への理解

ベトナム人の多くは、家族への仕送りや貯蓄を目的に来日しており、「一定期間でしっかり稼ぐ」という意識を持っているケースが多く見られます。

そのため、より条件の良い職場への関心が高く、待遇や労働条件によっては転職や離職につながる可能性もあります。

企業としては、給与だけでなく、働きやすさやキャリアの見通しを含めて、納得感のある環境を整えることが重要です。

言語・コミュニケーションの壁

日本語能力には個人差があり、業務内容によっては意思疎通に時間がかかることもあります。

特に専門用語や曖昧な表現は伝わりにくいため、指示はできるだけ具体的かつシンプルに伝えることが大切です。

また、ベトナム人は遠慮して質問を控える傾向もあるため、理解度を確認しながら進めるコミュニケーションが求められます。

就労環境への配慮(労働条件・生活支援)

外国人材にとって、日本での生活や職場環境は大きな不安要素になりやすいものです。

労働条件の明確化はもちろん、住居の手配や生活面のサポート、相談しやすい体制づくりなども重要になります。

特に技能実習や特定技能では、受け入れ企業側に一定の支援体制が求められるケースもあるため、制度に沿った対応が必要です。

送り出し機関との契約・費用の確認

ベトナム人材の受け入れでは、送り出し機関や仲介業者が関与するケースが多くあります。

一部では高額な手数料や不透明な契約が問題になることもあるため、どのようなルートで来日しているのかを事前に確認することが重要です。

適切な機関を通じて受け入れることで、トラブルのリスクを抑え、安定した雇用につながります。

ベトナム人採用を成功させるポイント

ベトナム人材の強みを活かし、長く活躍してもらうためには、受け入れ体制の整備が欠かせません。単に採用するだけでなく、定着まで見据えた環境づくりが重要です。

ここでは、ベトナム人採用を成功させるためのポイントを整理します。

日本語教育・研修の整備

ベトナム人材は日本語学習への意欲が高い一方で、業務に必要なレベルには個人差があります。

そのため、入社後の日本語研修や、業務に合わせた言語サポートを用意することで、理解度の向上とミスの防止につながります。

また、マニュアルの多言語化や、やさしい日本語の活用も効果的です。

生活支援・相談体制の構築

外国人材にとって、日本での生活は仕事と同じくらい重要な要素です。

住居や契約手続き、行政手続きなどに不安を感じるケースも多いため、相談できる窓口やサポート体制を整えることで、安心して働ける環境につながります。

結果として、早期離職の防止や定着率の向上にもつながります。

登録支援機関の活用

特定技能などの制度では、外国人材に対する支援が義務付けられているケースもあります。

自社で対応が難しい場合は、登録支援機関を活用することで、生活支援や相談対応を一括で任せることができます。

採用から定着までの負担を軽減できるため、はじめて外国人採用に取り組む企業にとっても有効な選択肢といえます。

まとめ

ベトナム人が日本で働く理由には、賃金水準の高さや日本語・技術を学べる環境、生活の安定性などがあり、こうした魅力が来日の背景となっています。あわせて、技能実習制度やベトナム国内の雇用事情も、増加の要因として影響しています。

また、ベトナム人材は真面目で向上心が高く、協調性にも優れている一方で、言語面や就労環境への配慮が求められる場面もあります。

こうした特徴や背景を踏まえ、まずは自社の受け入れ体制や支援内容を整理し、ベトナム人材が働きやすい環境を整えることが、安定した採用・定着につなげるポイントです。

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