外国人技能実習制度の法改正とは?廃止の経緯・新制度「育成就労」・企業対応まで解説
外国人技能実習制度の見直しが進む中で、「制度は廃止されるのか」「今後どの制度で採用すればいいのか」と悩む企業も多いのではないでしょうか。
2023年には制度の廃止と新制度への移行が提言され、今後は「育成就労制度」を軸とした受け入れへと変わる見込みです。
本記事では、技能実習制度の法改正の最新動向から、廃止の経緯、新制度「育成就労」の概要、企業が押さえるべき対応ポイントまで解説します。
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Contents
【最新動向】外国人技能実習制度の法改正とは?

技能実習制度は現在、大きな転換点を迎えています。まずは最新の動きを整理しておきましょう。
技能実習制度は廃止・新制度へ移行予定
2023年11月、有識者会議により、技能実習制度および特定技能制度の見直しが提言されました。特に技能実習制度については、廃止のうえ新制度へ移行する方向性が示されています。
新制度「育成就労」の導入が検討されている
新たな受け入れ制度として検討されているのが「育成就労制度」です。従来の技能実習とは異なり、人材育成と労働力確保を両立させる制度として設計される見込みです。
制度移行は段階的に進む見通し(〜2030年)
制度改正は一度に切り替わるのではなく、数年単位で段階的に進むと考えられています。最終的には2030年前後を目安に、新制度への完全移行が想定されています。
【法改正の経緯】なぜ技能実習制度は廃止されるのか

技能実習制度は長年運用されてきましたが、さまざまな課題が指摘されてきました。ここでは、制度廃止が検討されるに至った背景を整理します。
制度の目的と実態の乖離
本来、技能実習制度は「国際協力」を目的とし、開発途上国への技能移転を前提とした制度です。しかし実態としては、人手不足を補う労働力として運用されるケースが多く見られました。
人権問題や労働環境の課題
低賃金や長時間労働、不適切な管理などが問題視され、技能実習生の人権侵害が社会問題となりました。また、失踪や不法残留といった問題も制度の課題として指摘されています。
抜本的な見直しの必要性
こうした背景から、制度の部分的な改善ではなく、根本から見直す必要があると判断され、廃止と新制度への移行が検討されるに至りました。
新制度「育成就労」とは?技能実習との違い

技能実習制度に代わる仕組みとして検討されているのが「育成就労制度」です。
育成就労制度の概要
育成就労制度は、外国人材を一定期間育成しながら、日本での就労を通じてスキルを身につけてもらう制度です。従来の「国際貢献型」から「人材確保型」へと大きく方向転換する点が特徴です。
技能実習制度との主な違い
技能実習制度と育成就労制度には、制度の目的や運用に大きな違いがあります。主なポイントを整理すると以下の通りです。
- 目的
技能実習:国際協力
育成就労:人材育成+労働力確保 - 転籍(転職)
技能実習:原則不可
育成就労:一定条件で可能 - キャリアパス
技能実習:帰国前提
育成就労:特定技能への移行を想定
特定技能との関係
育成就労制度は、特定技能制度と連動する設計になると見られています。育成就労で一定のスキルを習得した後、特定技能へ移行する流れが主流になる可能性があります。
新制度はいつから?スケジュールと今後の見通し

制度改正にあたっては、時期の把握も重要です。
法改正の流れ
- 2023年:有識者会議が廃止・新制度を提言
- 2024年以降:政府による制度設計・法整備
- 数年かけて段階的に移行
完全移行は2030年前後が目安
現時点の議論では、新制度への完全移行は2030年前後が一つの目安とされています。
ただし、これはあくまで想定スケジュールであり、今後の法整備や運用状況によって前後する可能性があります。
【移行期間の扱い】現行の技能実習制度はどうなる?

制度の廃止が検討されているとはいえ、現行の技能実習制度がすぐに終了するわけではありません。移行期間中の扱いを正しく理解しておくことが重要です。
既存の技能実習生は引き続き在留可能
すでに受け入れている技能実習生については、在留期間が満了するまで現行制度が適用される見込みです。そのため、現在受け入れている人材が急に働けなくなるといった心配は基本的にありません。
ただし、制度移行に伴い、途中で特定技能など別の在留資格への移行を検討するケースは今後増えると考えられます。
新規受け入れは段階的に縮小される可能性
今後は新制度への移行が進むにつれて、技能実習の新規受け入れは徐々に縮小される可能性があります。特に制度の方向性が明確になるにつれて、「技能実習ではなく特定技能や新制度で採用する」企業が増えると想定されます。
採用計画を立てる際は、短期的な人員確保だけでなく、中長期的な制度変更も踏まえて検討することが重要です。
制度の併存期間が発生する見込み
制度移行は一度に切り替わるのではなく、一定期間は「現行制度」と「新制度」が併存する可能性が高いと考えられています。この期間は制度が複雑になりやすく、在留資格の選択や受け入れルートの判断に迷う場面も増えるでしょう。そのため、最新情報のキャッチアップと、専門機関との連携がより重要になります。
技能実習制度の法改正に向けて、企業が準備すべきポイント

技能実習制度の見直しは、単なる制度変更ではなく、外国人採用のあり方そのものが変わるタイミングでもあります。早めに準備を進めておくことで、制度移行後も安定した採用がしやすくなります。
特定技能を軸とした採用戦略に切り替える
今後は特定技能を中心とした採用が主流になると見込まれています。技能実習と異なり、特定技能は即戦力人材の採用が前提となるため、試験制度や受け入れ要件を事前に把握しておくことが重要です。
また、技能実習から特定技能への移行ルートを活用するケースも増えるため、既存人材のキャリア設計も視野に入れておく必要があります。
外国人材の定着を見据えた支援体制を整える
新制度では、受け入れ後の定着支援がより重要になると考えられています。具体的には、以下のような取り組みが求められます。
- 日本語学習の支援
- 生活サポート(住居・契約・行政手続きなど)
- 相談体制の整備
特に地方企業や中小企業では、自社だけで対応するのが難しいケースも多いため、登録支援機関の活用も現実的な選択肢になります。
採用ルートを見直す(送り出し依存からの脱却)
技能実習制度では、送り出し機関を通じた採用が一般的でしたが、新制度では採用のあり方も変わる可能性があります。
例えば、
・国内在留外国人の採用
・留学生からの採用
・特定技能人材の直接採用
など、より柔軟な採用ルートを検討する企業が増えています。
採用チャネルを広げておくことで、制度変更後も安定した人材確保につながります。
制度変更に備えた社内体制の見直し
制度移行に伴い、在留資格の管理や書類対応、コンプライアンス対応の重要性はさらに高まります。
- 在留資格の確認フロー
- 雇用契約の管理
- 法令遵守のチェック体制
などを見直しておくことで、不法就労リスクの回避にもつながります。
まとめ
技能実習制度は、長年の課題を背景に廃止と新制度への移行が進められています。今後は「育成就労制度」を軸に、特定技能と連動した形で外国人材の受け入れが行われていく見込みです。
制度移行は段階的に進むものの、企業にとっては採用戦略や受け入れ体制を見直すタイミングでもあります。今後の動向を踏まえつつ、自社に合った受け入れ方法を早めに検討していくことが重要です。
特に、特定技能や新制度を見据えた採用体制の整備は、今のうちから進めておくと安心です。